虚血性心疾患

虚血性心疾患

虚血性心疾患ってなに?

心臓は右1本・左2本の冠動脈で栄養されています。
高血圧や脂質異常症・糖尿病などの動脈硬化により冠動脈が狭くなります。狭くなると血液が十分に供給されない場合を狭心症、閉塞して血流が途絶えて心筋が壊死してしまった場合を心筋梗塞といいます。
狭心症などの症状は胸痛が一般的ですが、胸焼けや手のしびれなどが症状の場合もあります。
糖尿病患者さんの場合は、無症候性心筋虚血と言って症状が出ないことも多く、注意が必要です。

虚血性心疾患

どのような検査をするとわかるの?

東横病院でできる検査は?

採血、心電図、胸部レントゲン写真
心臓超音波検査(超音波で心臓の動きをみます)
運動負荷検査(歩いたり走ることで心臓に負荷をかけ心電図変化をみます)
冠動脈CT(点滴の針から造影剤を体内に入れ、CTの検査を行います。入院せず冠動脈を評価できます)
心臓MRI(点滴の針から薬剤を体内に入れます。詳細に心臓の状態がわかります)
心臓カテーテル検査(入院しておこないます)
検査中の様子(運動負荷検査)

検査

心臓カテーテル検査ってなに?

心臓は全身に血液を送り出すポンプの働きをしている重要な臓器で、筋肉や血管、弁などからできています。このうちのいずれかに問題が起こると心臓病になります。心臓病の検査には心電図、レントゲン写真、心エコー、心臓CTやMRI検査などがありますが、より詳しい情報を得るために心臓カテーテル検査が行われます。

検査
検査

狭心症って?

カテーテルは合成樹脂でできた細い管の総称で、これを手首や足の付け根の動脈から入れて血管を通して心臓まで到達させます。そして心臓の内部の圧を測ったり、カテーテルを通して造影剤を心臓の内部や血管の中に流して撮影することによって、心臓の動きや病気の種類・重症度を診断し、適切な治療法を選択することに非常に役立ちます。
心臓カテーテル検査をすることによって、冠動脈のどの血管がどの程度狭いか、あるいは閉塞しているかなどを詳細に調べることができ、その後の治療方針の決定に重要な情報が得られます。また、その他の心臓病(弁膜症や心筋症、先天性心疾患など)でも、重症度の評価や手術する適応があるかどうか、あるいは虚血性心疾患の合併の有無を調べるために心臓カテーテル検査が行われます。

心臓カテーテル検査ってなに?

狭心症の分類には動脈硬化性のものと血管攣縮性(痙攣)のものに分けられます。一般的には動脈硬化性のものを狭心症といい、労作で胸部症状を認めることから労作性狭心症と呼ばれます。冠動脈造影検査により狭窄部分を認めます。一方で血管攣縮性のものは異型狭心症と呼ばれ、診断のためには冠動脈造影に加え、冠動脈の痙攣を誘発する薬剤を直接冠動脈に注入し、症状、心電図変化、血管造影所見から診断を行います。薬剤として、アセチルコリン、エルゴノビンといったものを使用しますが、当院では主にアセチルコリンを使用します。通常の冠動脈造影は手から行うことが多いですが、薬物負荷試験を行うときには一時ペーシング(体外式のペースメーカで脈が遅くなりすぎることを防止します)が必要なこと、カテーテルの安定性の問題から鼠径部から検査を行います。

検査

心臓カテーテル検査の流れ

  1. 担当医が病歴、身体所見を確認し穿刺部位を決定します。
  2. カテーテル室に入室し、血圧などを確認します。穿刺部位を消毒し、滅菌の布を体にかけます。
  3. 穿刺部位(主に手首部、肘部、右大腿部)に局所麻酔を行います。
  4. 少し太めの注射針で動脈(検査によっては静脈も)を穿刺します。つづいて細いワイヤーを血管にそって入れ、シースと呼ばれるカテーテルの出入り口となる管を入れます。検査中に感じる痛みはここまでです。
  5. 細いワイヤーを、X線で確認しながら冠動脈へ進め、同時にカテーテルを進めていきます。血管内は痛みの感覚はありません。
  6. 冠動脈の入り口にカテーテルの先を入れ、造影剤を注入し撮影をします。これを左右の冠動脈でさまざまな方向で行います。撮影時には息止めをしてもらうこともあります。
  7. カテーテルを入れ替えて心室の撮影を行います。この際、たくさんの造影剤が体の中に入るため、胸から臀部にかけて一時的に熱くなります。
  8. この他に、症状に応じて大血管の造影や、四肢の血管、腹部の血管を造影することもあります。また、病気によっては内圧の測定や薬物負荷試験を追加します。
  9. 検査終了後、カテーテルおよびシースを抜去し止血を行います。肘や手首の場合、止血用のベルトを巻き、時間をおいて徐々に減圧します。鼠径部の場合には穿刺部を手で圧迫止血し、その後止血用のロールで圧迫固定します。
カテーテル検査

カテーテル検査で起こりうる副作用、合併症は?

心臓カテーテル検査は比較的安全な検査ですが、体内に薬物やカテーテルなどの器具を入れるため、常に何らかの不測の事態が起こることを考慮しなければなりません。最近の統計では、重篤な合併症(死亡、脳卒中、重篤な不整脈、血管障害など)が生じる可能性は1%程度と言われています。この数字は一般的なものであり、年齢、現在の状態、既往歴や合併疾患の有無により変動します。

主な合併症

合併症の種類 頻度
検査に伴う死亡 0.08〜0.75%
脳血管障害

0.03〜0.2%

穿刺部血管合併症
(穿刺部血腫、後腹膜下血腫、
仮性動脈瘤、動静脈瘻など)

0.40〜2.6%
心筋梗塞 0.03〜0.06%
造影剤副反応
(気分不快、皮疹、
呼吸困難、血圧低下など)
0.37%
腎障害 1.4〜2.3%
不整脈 0.56〜1.3%

合併症によっては輸血や外科的処置、人工呼吸器、補助循環、血液透析などの緊急的な救命処置が必要となる場合や、後遺症の残る場合があります。
以上のような合併症のないよう、最大限の注意と努力をしております。合併症を回避するため、途中で検査を中止することもあります。
万が一カテーテル検査中あるいは終了後に合併症が生じた場合には、最大限の対処と治療をいたします。発生の事実や考えられる原因(原因が特定できない場合もあります)、必要な処置に関して説明をします。

実際にどのように治療するの?

カテーテルでの治療法を経皮的冠動脈形成術と言います。
カテーテル検査と同じく、カテーテル挿入部位に局所麻酔を行った後に、動脈に針を刺して直径2mmほどのカテーテルを入れ、それを通して血管を広げる治療用バルーンやステントを冠動脈内に入れます。造影剤で冠動脈の撮影をしながら行います。
基本的には病変部をバルーン(風船)で広げ、ステントと呼ばれる金属製のチューブ(網目状の構造)を入れます。
ステントは金属であり体内では血栓がつきやすいという性質があるため、プラビックスやエフィエントなど抗血小板薬を内服する必要があります。期間は半年から1年程で使用するステントの種類により異なります。ステントには金属ステント、薬剤溶出性ステントがあり、金属ステントは血管の内膜が数ヶ月で形成されるため、抗血小板薬を短期間でやめることができる一方で、再狭窄率が30%程度と高いという問題点があります。一方で薬剤溶出性ステントは再狭窄率が5%以下と低い一方で、血管の内膜が形成されるのに時間がかかり、抗血小板薬は基本的には1年間の内服が必要になります。
治療を行う際のカテーテルを入れる部位は、状態に応じて異なり現在は手首から行うのが主流となっていますが、手首の血管が細かったり、治療するための器具を使用するために太い管が必要な場合には鼠径部から行うことになっています。治療後は止血のため、穿刺部の圧迫と6時間程の安静が必要となります。安静が十分に守られないと穿刺部位から出血を認めることがあります。

バルーン拡張

  1. 病変を超えて細いワイヤーを入れる
  2. 病変部へたたんだバルーンをもっていく
  3. 病変部でバルーンを広げる
  4. バルーンを縮めて抜去する

ステント留置

  1. たたまれたステントを病変部へもっていく
  2. 病変部へたたんだバルーンをもっていく
  3. ステントの下にあるたたまれたバルーンを広げてステントを血管に圧着させる
  4. バルーンを抜去してステントのみが残る
ステント留置
ステント留置
ステント留置

実際の治療の様子

実際の治療の様子

治療の危険性は?起こりうる合併症は?

心臓カテーテル治療は比較的安全な治療法ですが、合併症としてはカテーテル検査の合併症に加えて治療に特有の合併症があります。重篤な合併症(死亡、脳卒中、重篤な不整脈、血管障害など)が生じる可能性は一般的に1%程度とされています。この数字は一般的なものであり、年齢、現在の状態、既往歴や合併疾患の有無により変動します。

合併症の頻度

合併症によっては輸血や外科的処置、人工呼吸器、補助循環、血液透析などの緊急的な救命処置が必要となる場合や、後遺症の残る場合があります。 以上のような合併症のないよう、最大限の注意と努力をしております。合併症を回避するため、途中で検査を中止することもあります。
万が一カテーテル検査中あるいは終了後に合併症が生じた場合には、最大限の対処と治療をいたします。発生の事実や考えられる原因(原因が特定できない場合もあります)、必要な処置に関して説明をいたします。

退院後の生活

特に日常生活に制限はありません。
冠動脈病変を増悪させないために生活習慣病の管理をしましょう。
例えば、糖尿病・高血圧・脂質異常症・抗尿酸血症・禁煙
きちんと内服を継続しましょう。
適度な運動(1日30分前後)しましょう。
十分な水分摂取しましょう。 など

対象の診療科

  心臓病センター

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