糖尿病

糖尿病

概要

血液中のブドウ糖(血糖)が過剰になる病気です。膵臓から出るインスリンというホルモンが血糖を一定の範囲におさめる働きを担っていますが、インスリンが十分に働かなくなると血糖が高くなります。血液中の血糖の濃度を血糖値と言います。血糖値が長い間高い(高血糖)状態で放置されると、血管が傷つき、将来的に心臓病や、失明、腎不全、足の切断といった、より重い病気につながります。また、著しく高い血糖は、それだけで昏睡(こんすい)などを起こすことがあります。

症状

高血糖の症状はのどがよく渇く、水分が多く飲む、尿の回数が増える、体重が減る、疲れやすい、だるいなどが挙げられます。さらに血糖値が高くなると意識障害に至ることもあります。一方、無症状で糖尿病を発症していることを自覚されない方も多くいらっしゃいます。症状がまったくないまま健診などで糖尿病が判明する方もいれば、急に高血糖の症状が現れて糖尿病が判明する方もいます。また、眼や腎臓の合併症の症状が現れて、初めて糖尿病と診断される方もいます。

診断

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシーまたはグリコヘモグロビン)は過去1~2ヶ月間の平均的な血糖値を表す指標で、糖尿病の診断やコントロール状況を見るのによく使われます。HbA1c 6.5%以上かつ空腹時血糖値126mg/dL以上(正常110mg/dL未満)、または食後の血糖値が200mg/dL以上、ブドウ糖負荷試験での2時間血糖値が200mg/dL以上(正常140mg/dL未満)なら糖尿病と診断されます。また血糖値が正常と糖尿病の間にある場合は境界型(糖尿病予備軍)と判定されます。

分類

  • 1型糖尿病
  • 2型糖尿病
  • その他の原因による糖尿病
  • 妊娠糖尿病 

の4つに分類されます。①1型糖尿病はインスリン分泌が極端に低下した結果起こる糖尿病で、その治療にはインスリン治療が必要です。②2型糖尿病は遺伝因子と環境因子が重なっておこる糖尿病で、日本人の糖尿病の大半を占めています。③は肝臓病、膵疾患、他の内分泌疾患や薬剤によって引き起こされる二次的な糖尿病です。 ④妊娠糖尿病は妊娠中におこる糖尿病で、出産後は正常に戻ることが多いのですが、後に2型糖尿病を発症しやすいことが分かっています。

合併症

細い血管に起きる細小血管障害(神経障害、網膜症、腎症;これらを併せて三大合併症と言います)と、太い血管に起こる大血管障害(閉塞性動脈硬化症、心血管疾患、脳卒中など)に分けられます。

細小血管障害

1)神経障害

主に足先から起き始める末梢神経障害では、足のしびれや痛み、異常感覚、こむらがえりなどの症状が出てきます。さらに進むと感覚鈍麻となり糖尿病壊疽の危険が高くなります。自律神経が障害されると、立ちくらみ、排尿困難、勃起不全、便秘・下痢などの症状がでてきます。

2)網膜症

眼底の網膜に出血や白斑が生じ、硝子体出血や網膜剥離を起こすと視力低下の原因になります。レーザー治療で進行を止める治療を行うこともあります。早期発見や悪化予防のためには定期的な眼科受診が必要です。

3)腎症

糖尿病のため腎臓が障害されると尿蛋白(初期には微量アルブミン尿)が出てきます。現在、新規透析導入の原因で最も多いものが糖尿病腎症です。腎症の進行を防ぐため血糖コントロールだけではなく血圧の管理も重要になります。

大血管障害

糖尿病があると動脈硬化症の危険度は3倍から4倍に増えます。狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、主に足の血管に起きる閉塞性動脈硬化症があります。これらの予防のためには、血糖値のみならず血圧、脂質などのリスクファクターを管理することが重要です。

対象の診療科

  生活習慣病センター(代謝・内分泌内科)

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