日頃より、地域のみなさまには病病連携・病診連携にご協力をいただき感謝いたします。新型コロナウイルス感染症を第8波まで経験し、5月8日より感染症法上の位置づけを季節性インフルエンザなどと同じ「5類」へ移行されました。 これまで各病院等の役割に応じて対応してきましたが、感染症と共に病床の逼迫や人員不足が叫ばれ、問題は解決されないまま、幅広い医療機関が自律的な対応に委ねられた形となっています。また、今後起こるであろう新興感染症や災害、戦争の影響など社会の不安定さは、地域の皆さんの健康にも影響をもたらすことが予測されます。地域住民としてひとり一人の暮らしを守るために、医療人としての支援の輪を広げていくことに尽力したいと思います。
暗いニュースが多い中、3月に行われたWBCの侍ジャパンの優勝は、にわか野球ファンを増やし喜びが今もその時の特集が組まれるなど関心が高く、人々に元気をもたらしています。中でも二刀流大谷翔平選手の活躍は言うまでもありません。源田選手の指が折れ曲がっても出場する意欲など、並々ならぬ優勝への思いは、感動としていまだに波紋を広げている成果と思います。今後は、ウイルスによる“感染”ではなく、このWBCの感動のように、医療の現場で健康の回復として喜びの感情の“感染”をこの地に広げていきたいものです。
さて現在、当院は附属病院・クリニック間の機能・役割分担・連携の再構築に取り組んでおります。今後どのような役割を担うか明らかになりましたら、ご案内申し上げます。
それまでは、これまでと変わらぬご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
高齢者では加齢による筋肉量の減少および筋力の低下を指す「サルコペニア」がしばしば問題になります。近年、心不全では高齢患者の割合が増加しており、心不全患者の30%程度がサルコペニアとされています。身体機能が低下し日常生活に支障をきたすほか、治療においても障害をもたらします。サルコペニアの原因は、加齢のほかに疾病や低栄養、低活動といった可逆的なものがあります。心不全は低栄養と低活動のリスクが高く、サルコペニアの予防や改善には、疾病管理に加えて栄養と運動の介入も重要になります。栄養では十分なエネルギー量とたんぱく質の摂取が有効ですが、高齢者の喫食量を増やすことは難しく、様々な角度からアプローチが必要です。また、心不全ではオーバーワークによる心不全増悪に注意が必要であり、適切な運動療法が望まれます。栄養と運動による効果を得るためには、時間をかけて継続する必要があります。さらに、サルコペニアは社会的あるいは精神的な脆弱性にもつながり、しばしばフレイルともオーバーラップします。そのため、多職種による継続した介入が重要となります。当院では2023年4月より「心不全サルコペニア・フレイル外来」を設立し、経験豊富な多職種の知識を集結させ、疾病・栄養・運動に加えて、社会的支援や患者個々の背景を鑑みて包括的にアプローチする取り組みを開始しました。サルコペニア・フレイルの予防と改善により患者さんが少しでも長く自立した生活を送れるよう、特に患者視点のアウトカム改善を目指して取り組んで参ります。
新年年あけましておめでとう ございます。昨年は、病診連携、病病連携におきまして格別のご配慮、ご協力を賜り御礼申し上げます。おかげさまで、微力ながら地域医療に貢献させていただくことができました。
2022年は、コロナ禍が長期化する中、北京オリンピックが開催され、小林陵侑選手、高木美帆選手、平野歩夢選手の金メダル獲得など日本勢の活躍を楽しみにテレビ観戦されていたことと思います。しかし、その数日後の2月24日にロシアのウクライナ侵攻が開始され、それ以降痛ましい報道が続いております。また、日常生活においても紛争の長期化に伴う光熱費などの物価高騰、さらにコロナ感染拡大第6波、第7波、第8波と悩みの多い1年であったと拝察いたします。
2023年は卯年です。卯年は飛躍や向上の年といわれています。12年前の卯年を振り返ると、東日本大震災、なでしこジャパンのワールドカップ初優勝、などが思い出されると思います。東日本大震災では、直接的被害に加え原子力発電所の事故やそれに伴う農産物や海産物の風評被害など多くの問題が次々と起こりました。未だに多くの傷跡を残しながらも、世界中が驚くほどのスピードで復興が成し遂げられました。まさに、困難からの飛躍の年といえると思います。
現在、医療業界は厳しい状況にありますが、ここからの飛躍が望まれる1年だと思います。 医療者としての原点に立ち返り、求められる医療の提供を使命とし職員一同努力して参りたいと思います。本年も変わらぬご指導、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。